小学校 社会【これからの食料生産とわたしたち】
京都市立向島秀蓮小中学校 堀川 紘子
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単元名 小学校5年社会科「これからの食料生産とわたしたち」
単元目標
我が国の農業や水産業における食料生産について、食料自給率や輸入など 外国との関わり、食の安全・安心への取り組みなどに着目し、地図帳や地球儀、各種資料で調べ、まとめることで食料生産の課題を捉え食の安全・安心の確保、持続可能な食料生産・食料確保が重要な課題であることや、食料自給率を上げることが大切であることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度や、学習したことをもとに、これからの農業などの発展について考えようとする態度を養う。
・シンキングツール使用のポイント
座標軸 自分の考えを明らかにする
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食料を輸入しなければどのような食事になるかを知り、日本の食の未来が「心配」か「大丈夫」かの二者択一で選択させる。名前カードを活用し、自分の立場を明らかにすることができる。自分の名前カードと近い人は考え方が似ている(共通している)、名前カードが離れている人は考え方が違うということが一目でわかる。友達の考えを知りたいというきっかけづくりとなる。
バタフライチャート 賛成・反対の両者の意見を考える
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「食料の輸入を増やす」というテーマで賛成か反対かのどちらかの意見だけを考えさせるより,賛成と反対の両者を考えることで,より自分の考えを確かなものにすることができる。バタフライチャートを使うことで,賛成・反対だけではなく,強い賛成・強い反対の意見も考えることができる。自分の意見を主張する場合に効果的だと考える。
座標軸 調べたこと(考え)を比較し順序づけする
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調べた情報、考えたことを羅列するだけでは、より重要な考えや具体化できる考えかどうかを整理することが難しい。座標軸を使うことで、自分が決めた項目で比較し、考えに順序をつけたり、意見の位置づけを明確にすることができる。
同心円チャート 考えの変化をとらえる
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中央の自分の考えから、どんどん輪が広がり、自分たちにできること、家族にできること、日本全体で取り組むべきことと、考えの広がりをとらえながら、考えを整理することができる。
・題材についてポイント
本単元は,食料生産に関する学習の最後の単元である。学習指導要領との関連として,第5学年内容(2)「我が国の農業や水産業における食料生産」に関わる内容である。本単元では,消費者や生産者の立場などから多角的に考え,これからの農業などの発展や自分たちの食生活について考えさせる。注目したいポイントは,「食品ロス」の問題についてである。多くの食料を輸入する一方で大量の「食品ロス」が発生していることをつかませ,食生活のあり方を考えさせるきっかけとし,食の問題を解決するために自分にできることを考える。特に,現在のコロナウィルスの状況を踏まえ,今後外国からの食料を安定して輸入できるかどうか定かではない。WITH コロナの状況においても,安定した食の確保,食料生産の観点から,食料を無駄にすることなく,最大限生かしつつ,安定した食生活のために自分たちにできること考えさせたい。
・単元計画 全6時間
プロット図
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・授業の流れ
導入 「天ぷらそば」から日本の食料生産について考えよう
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白黒の天ぷらそばのイラストをもとに,国内で生産された物にのみロイロノート 上で色を塗る。
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もし輸入がなければ,どのような食事になるかを知り,これからのわたしたちの食事の未来が「心配」か「大丈夫」なのかを想像し,座標軸に表す。この座標軸を用いることで,自分の立場を明らかにする。「どちらともいえない」という考えの場合は,座標軸の中央あたりに自分の名前カードを配置する。座標軸に自分の考えを表した上で,子どもたちのつぶやきをもとに学習問題をつくる。
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展開1 なぜ日本の食料自給率は低下したのだろうか。
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日本と主な国の食料自給率を比較したグラフから,日本の食料自給率の低さに気づけるようにする。次に,知識構成型ジグソー法を用いる。3人グループに分かれ,一人ひとりが異なる資料を読み取る。「食料品別の輸入量の変化」「日本産の価格と外国産の価格」「1人1日あたりの食べ物の割合の変化(1960年と2017年の比較)をもとに,エキスパート学習に取り組み,クロストークを通して食料自給率の低下の背景について考える。その際,くま手チャートを活用し,日本の食料自給率の低下の要因を多面的に捉えられるようにする。
※知識構成型ジグソー法について 「東京大学 CoREF」
展開2
食料の輸入は日本で暮らす私たちの生活にどのような影響を与えているのだろうか。
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「日本は食料の輸入量が多いことは良くないことだから,国内生産を増やさないといけない。」という考え方になりがちである。しかし,食料を輸入することで,私たちは豊かな食生活を送ることができていることも理解しておく必要がある。NHK for schoolのクリップ「輸入が支える豊かな食生活」を全体で視聴する。
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次に,3人ずつのグループに分かれる。3人がそれぞれ違うNHK for schoolの動画を視聴する。知識構成型ジグソー法を用いて,それぞれが動画を視聴する。
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「食料を輸入にたよることの問題」
「食料の輸入増加と日本の農業・漁業」
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それぞれの動画を視聴し,3人グループで再度集まり,気づきを共有する。その際,食に関する問題点や注目すべき点を出し合う。お互いの考えを交流する中で,「食料を輸入することでどのような影響があるのか?」を話し合う。
展開3 食料の輸入を増やすことに賛成ですか?反対ですか?
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日本の食料自給率が低下していることや,展開2で学習した輸入によって起こることを踏まえ,食料の輸入を増やすことに賛成・反対の両者の意見をバタフライチャートで整理する。その上で,自分がどちら側の立場かを明らかにし話し合うことで,より自分の考えを確かなものにすることができる。
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バタフライチャートで整理した内容をそのままに,シンキングツール をPMIチャートに切り替える。それぞれの内容を,食料の輸入を増やすことで生まれるメリット,デメリット,気になることで整理する。これからの「食」を考える上で気になること,特に輸入に依存する日本の食料生産の今後について話し合う。今後,新型コロナウィルスの影響がどの程度でるかは想定することが難しい。しかし,安定した食の確保という面で問題が起こる可能性があることに触れ,「食」の問題は自分にも関わりのある問題だということに気づかせる。
展開4
輸入に頼る食の確保が難しくなる可能性がある今日,食に関する問題に対して自分たちにできることはないだろうか?
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展開2で学習した日本が抱える食の問題をもとにしながら,解決のために取り組んでいる先進的な取り組みについて調べたり,自分たちにできることについて考えたりする。得られた情報を座標軸に整理し,自分たちの考えを比較し,順序づけることで,より現実的な考えは何かを考えさせたい。
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座標軸で整理した考えをもとに,シンキングツール を切り替えて,同心円チャートで整理する。このとき,自分にできることだけではなく,対象を「自分」→「家族」→「日本全体」と広げることで,考えの広がりを捉えられるようにする。自分ができることだけではなく,家族や国全体で取り組むことを考えることで,食」の問題をより多面的に捉えられるようにしたい。
展開5 これからの「食」の未来は明るいのだろうか?
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展開4の同心円チャートを参考にしながら,キャンディーチャートを用いる。「もし〜なら・・・なる」「なぜなら・・・」のように,食の問題に対してもしアプローチできたら,こんなことが起こるだろうと予想させる。自分が取り組んで行きたいと挙げた内容が実現したら,どうなるかを予想させることで,これからの「食」の未来を考えるきっかけをつくる。その際,日本だけではなく,世界の「食」の未来についても考えられるようにしたい。
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キャンディーチャートをもとに,これからの食の未来は明るいかどうかについて自分の考えをまとめる。文章構成の例を参考にしながら,食の未来は,「明るい」・「暗い」・「どちらともいえない」の3つの立場で考えをまとめさせる。
展開5の「これからの食の未来は明るいのだろうか?」というテーマで自分の考えをまとめさせることを通して,学習問題に対する自分の考えをもてるようにしたい。